2007年夏 スイス旅行記
前書き
14年と8ヶ月勤めていた会社を辞めた。理由は陰湿な上司のせいである。
今回の旅行も会社の正規の休みの他に3日有休を取らなければならなかったが、それを
あの陰湿な上司であるAに申し出る事に躊躇していた。病院による検査とか嘘を言って
有休を取ろうかと考えていたが、みんなが正直に言ったほうが良いというのでそうすることにした。もし、これで気持ちよく取らせてくれるような上司なら、今後も会社を続けて
行くことは可能だと思い、このときの態度で今後の去就を決める事にしたのである。
結果は最悪であった。激怒し、「そんなもん許可できるか!!!」と怒鳴り、「決意書を出せ!!!その内容によって認めるか認めないか決める」と来た。これにより心が決まり翌日「もう辞めてもいいです」と一言行った所、全く慰留はなく即効で8/31退職が決定し、7/31までは会社へ、それ以降8/31までは有休消化で全休しても良いということになり、なんの気兼ねも無く旅行に行けることになった。
ちなみにスイスへは、この会社に入社した14年前の7月に一人でツアーに参加したことがある。
2007/8/8(水)関空11:00(AY-078)15:15ヘルシンキ16:30(AY-863)18:15チューリヒ
今回の旅行は阪神航空フレンドツアーの「添乗員がご案内する爽やかスイス・アルプスの名峰を巡る列車の旅 10日間」というものである。移動はほぼ鉄道を使うという、異色の私にとっては理想的なツアーであるのに、参加人数わずか6名である。こうなるとツアーメイトがどういう人かが重要になってくるが、あとの4名のうちの2人はルフトハンザ
使用なので、先にホテルに入る。残りの我々と同じ行程の2人は京都で小さな西陣織の工場を経営しているAさんという、田舎者のような年配の夫婦である。LHで来た夫婦は上品な感じの神戸のKさんという。今回の大変楽な添乗員は野坂さんという年齢不詳の女性であるが、スイスのことにはベテランのようである。
今回のフライトは初めてフィンエアを使う。それも往路は母の希望で初めてビジネスクラスで行くことになっている。イミグレーション(出国カウンター)は今までに見た事がないほど混雑していた。しかし出発までは「飛鳥倶楽部」というラウンジを使う事ができる。10:40の搭乗時間までゆったりと過ごせた。
いよいよ搭乗。ビジネスクラスはエコノミーとは別の前の方のボーディングブリッジよりゆったり� �乗。着席すると早速ウエルカムドリンクである。シャンパンにしたが量が多すぎて大半を残す。
それにしても、シートはエコノミーとは天と地である。この快適さを一度味わってしまうともうエコノミーなんか乗れない。もっとも復路はビジネスが取れずエコノミーなのだが・・・・。
飛行機はMD−11、日本乗り入れで旅客便としてこの飛行機を使っているのは今やフィンエアだけとなってしまった、古い3発機である。
関空24L(以前よりある、第一滑走路)より離陸してすぐ右旋回する。右側席なので2本目の滑走路が出来たばかりの関空がよく見えた。こちらは着陸専用として使われているので帰ってきたときに初利用する予定である。
やがて食事。
机にテーブルクロスが敷かれてオードブルから一品ずつ持ってくるのはやはりエコノミーとは違う。食器も全て金属製のナイフ、フォーク、スプーンが10本ほど付く。
味はそれほどでもないが、帰りのエコノミーの食事はひどかったのでやはり随分と上等だったのであろう。
映画は見れたのは「武士の1分」のみ。まだ見ていなかったのでちょうどよかったが、他はろくな映画はしていなかった。
フルリクライニングにしたりして快適くつろぐうちに、に眼下は湖ばかりの快晴のヘルシンキ到着。途中揺れもまったく無く、着陸もうまかった。ヘルシンキは日本からだと一番近いヨーロッパなので9時間くらいで着いてしまうので、なんかビジネスは損な感じでも
ある。
それにしてもヘルシンキは良い天気である。インターネットによるとスイスの天気は少なくともあと5日はずっと雨。
ヘルシンキからはブラジル製の飛行機「エンブラエル70」でチューリヒへ。CAのおばさんのうちの一人はどう見ても、60歳以上に見える。
チューリヒは雨。暗澹とした気分になる。バスで着いたホテルはなんと、スイス国鉄の
ナントカという駅の真前で、トラムも走っている。部屋からも列車とトラムが良く見える。もし天気が良ければすぐに撮影にとりかかるところであるが、雨はどんどんひどく窓ガラスに叩きつけるような大雨である。
撮影は断念するしかなかった。
明日も雨か、と絶望のうちに眠りに入る。
2007/8/9(木)ホテル(専用バス)チューリッヒ空港駅(列車)チューリッヒ中央駅(列車)ゲッシュネン(列車)アンデルマット(列車)リアルプ(SL)グレッチ(ポストバス)オーバーワルト(列車)ブリーク(列車)ツェルマット
朝、雨は小降りにはなっているがまだ止んでいない。足取りも重くバスに乗り込む。今
日はまず、空港駅に行って日本にも昔あったチッキを使い、トランクなどの大荷物を今日の最終目的地であるツェルマットまで送ってもらう手続きをする。こういう制度が残っているのはヨーロッパではスイスだけのようだが、旅行中に大荷物を持ち運ぶことが無いので大変便利である。
空港駅で手続きを済ませると、7:43発の待望の列車に乗り込み、まずはチューリッヒ中央駅へと向かう。わずか10分で到着。この駅はヨーロッパ各国から国際列車が発着するスイス最大の駅で、14年前に初めて来た時に大感激したところなのでぜひ再訪したかったので嬉しい。ただ今回は自由時間が15分くらいしかなく、あっという間に時間が経ってしまったが、イタリアからのペンドリーノとドイツのICEは見る事ができた。
� �回のツアーは「スイスパス」を使って多くの列車を乗り継いで移動する、個人旅行のようなツアーである。チューリヒからは8:09発の国鉄ゴッタルド線の快速列車にてゲッシュネン駅まで国鉄で行く。9:50着。ここは有名なゴッタルドトンネルの入口の駅であり、ここから9:52発の急勾配の支線に乗り換えてトンネルの上にある交通の要所、アンデルマットへ。10:03着。アンデルマットからは10:06発の氷河急行路線のフルカオーバーアルプ鉄道(FO)の普通列車に乗り換えてリアルプへ。10:18着。ここで降りて5分ほど歩くと、フルカ山岳鉄道のSL列車の発着する駅がある。
このフルカ山岳鉄道の線路は元々FOの線路だったが、冬季は運休が避けられず、また度々災害で線路が流されるなどし� �ために、そのFO随一の車窓を犠牲にして新フルカトンネルという長大トンネルを掘って廃止された線路を譲り受けて1日に1〜2往復SL列車を走らせている。
フルカ山岳鉄道のフルカ駅に着くとSLが入れ替えをやっていて2両の客車をつなぐと、推進運転でホームに入ってきた。さっそく乗り込む。